3.総合的な身体づくり
遊びや運動は身体の健全な育成に寄与し、身体を鍛え、運動機能の訓練になります。日常生活における生理的・心理的なストレスの影響から回復することが、遊びの重要な役割でもあるといえます。
子供の頃から身体を使って思いっきり遊ぶ習慣が身についていると、勉強、部活、仕事においても常に思いっきり取り組むことができるようになります。
*手は第2の脳
18世紀ドイツの哲学者カントは「手は外部の脳」と表現しました。手を活発に動かすと、その刺激は脳の多くの部分に伝わります。人間は二本足で歩くことにより手が発達し、それと比例するように脳の進化がもたらされ、他の動物の頂点に立てたと考えられます。
子どもは手をよく動かすことで脳と体の性能を向上させることができます。パズルをしたり、積み木をしたり、ボールを投げる、蹴ることはとても重要です。手で物を扱う技術が発達するにつれ、脳の神経回路はどんどん豊かに成長します。
アメリカではJPL(ジェット推進研究所)の「遊びと仕事の関係性」の調査で、若い頃「自分の手を使って遊んでいた人」は「そのような経験のない人」より問題解決力があるという結果が出ています。つまり、手で物を扱う遊びをすれば、あらゆる種類の問題を理解し解決するのにより適した脳が形成されると考えられるのです。
*足は第2の心臓
足が第2の心臓と言われるのは、歩くことで足の筋肉の血管がポンプの役割をし、血液循環を促進させることからと言われています。
特にその働きを必要とするのは子どもたちです。子どもたちは絶えず動き回っています。立ったり座ったり、走り回ったりします。これが、子どもたちの小さな心臓の負担を軽くしているのです。このような働きは子どもの未熟な心臓には欠かせないものなのです。
しかし、高度情報化社会に生きる現代の子どもたちは、集団での外遊びをほとんどしなくなり、座わったまま長時間テレビを見る、ゲームするという動き回らない生活が多くなりました。そして、体力・運動能力の低下はもとより、健康上の問題、さらには情緒不安定や社会性の欠如といった問題を抱えるようになったのです。これらの具体的な問題解決となると、なかなか大変です。運動をさせようとするとスポーツ競技の導入以外方法があまりありません。
基本的な運動経験の不足→スポーツ技術の習得困難→スポーツ嫌い→基本的な運動経験の不足、という悪循環が問題を大きくしています。したがって現代の子どもには、我々大人が昔、路地や空き地でやっていたような遊びで、基礎能力を習得できる環境が必要なのです。