スポーツでは、人間が自らを高め、その能力を表現する素晴らしい機会を与えてくれます。スポーツの原理は「楽しむために勝ちを追求」するものです。試合では相手がいなければプレイできません。そしてお互いが本気でプレイしなければ勝っても嬉しくありません。試合の相手は敵ではなく、ともに試合を楽しむため、ともに成長するために必要な「仲間」であるといえるのです。
そのことを明文化したアメリカの例を以下に紹介します。これは2001年9月11日アメリカ同時多発テロが発生したため、放送寸前に中止になったIOCがソルトレイクオリンピック前に世界に向けて発信する予定だったキャンペーンの内容です。CNNだけが『こういう時こそ、世界の人たちに勇気を与える必要がある」として放送したものです。
Celebrate Humanity Campaign 2001 by International Olympic Committee
You are adversary, but you are not my enemy
あなたは私の対戦相手、でも決して敵ではない
For your resistance gives me strength
あなたの抵抗が、私を強くしてくれるから
You will gives me courage
あなたの決意が、私に勇気をくれるから
Your spirit ennobles me
あなたの精神が、私を高めてくれるから
And thought I aim to defeat you, should I succeed,I will not humiliate you.
あなたを倒すこと、それが私の目標だけど、たとえその目標を達成しても、あなたの誇りを決して傷つけたりしない
Instead I will honour you,
それどころか、あなたを心から尊敬するだろう
For without you, I am a lesser man.
あなたがいなければ、私はちっぽけな人間に過ぎないのだから。
「勝ちからも負けからも学べる」のがスポーツです。子どもたちには、勝ったら感謝します! 負けたらありがとう!と言える人に成長して欲しいですね。
最後にスポーツは「勝つために楽しむ」ものではないことを理解しておきましょう。勝つためだけにスポーツが行われることを「勝利至上主義」と言います。勝ちこそが唯一絶対のものだとすると、負けからは学べないことになります。
だから相手は敵であり、敵を粉砕することが目的になってしまうのです。これがエスカレートすると「体罰」が起こるのでご注意を。