今回は、2006年公開された映画「Mad Hot Ballroom」邦題(ステップステップステップ)を紹介します。公立小学校を対象に毎年行われているラテンダンスのコンテストを通して、子供が多くのことを学び成長していく姿を撮ったドキュメンタリー映画です。アメリカ・同時多発テロ9.11後、「ダンスで子供たちが元気になれればいい、目標を持たせることが大切」という思いから始まったコンテスト。だから、どこの学校の先生も「勝つことにこだわっているわけではないが結果は楽しみ」という。

AS_84581001注目すべきは、貧困家庭で問題を抱えている子供たちのために無償で行われているということです。中流階級は習い事はお金を払って学べる。貧困層の教育格差は広がる一方だ。貧富の格差という超えられない壁をどう乗り越えて社会のルールを教えていくのかという課題から生まれた試みは、現在ニューヨークの60校が参加、5年生約6000人が参加するという超人気プログラムとなった。

カメラは放課後の子供たちも追う。演出のないありのままの姿が記録される。屈託のない素直な意見を言う男の子、客観的に自分たちのことを見ている女の子もいる。男の子は女の子の悪口を言うし、女の子も男の子の悪口を言う。しかしコンテストが近づくにつれ次第に練習にのめり込んでいく。

ダンスを通して授業では教師が教えられない、
「新しいことにチャレンジして、上達させるチャンスを与えられる。成功することを目指して努力することができる」
「これは文化を知るだけでなく、子供が自分に自信を持って、レディとジェントルマンに成長するプロセス」
「ステップを学ぶことが目的ではない。礼儀や様々な国の暮らしや文化を学ぶこと」
を学んでいく。

そしてコンテストでは、
「勝者の態度はBe a good sport!」
潔くあれ!卑怯な態度をせず清く正しくあれということを徹底して教えていく。

AS_84580941負けて泣いる子、一生懸命踊ったのに負けて何が起きたかわからないという子もいる。
そんな悔しい状況で「Good sportsmanship is the key!」
スポーツマンシップが重要であることを教えている。

負けた時に礼儀正しくすることを「Good Loser」という。良き敗者になることはまさに「紳士淑女」になることです。

優勝したチームのリーダーはダンスに出会わなければ間違いなく悪の道で手を染めていただろうと言われていた。しかしダンスの先生の教えで徐々に周りの子を気遣うリーダーシップを発揮するようになっていく。最終的に、みんなが目指したいロールモデル的存在までになった。

ある学校の校長先生が言った。「人生で成功するには、自分で好きなものを見つけること。そして、それを極めることだ」子供はまず自分の好きなものを見つける様々な経験が必要なのは万国共通だろう。