人間は「体内時計」の働きで朝になると目を覚まし、夜になると眠くなるという生体リズムをもっています。近年、発達障害の子どもが急増し、その原因が睡眠不足にあるということがわかってきました。そして、睡眠不足の原因の一つが「体内時計」の形成不全にあることが判明したのです。夜更かし、運動不足、夜間の光環境の変化は「体内時計の乱れ」を引き起こします。「体内時計の乱れ」は、脳の成長を抑制し、運動言語、コミュニケーションに悪影響を及ぼします。また、肥満の原因にもなります。
そして、肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群により糖尿病、高血圧などの生活習慣病を合併することになります。睡眠の働きの中でも、特に重要な働きとして、「成長ホルモン」の分泌があります。身体の成長をうながす成長ホルモンは、夜10時から午前2時ころにかけてもっとも分泌されると言われております。十分な睡眠をとることで成長ホルモンが分泌されて、骨や筋肉の細胞が増えて太く長くなります。
また、成長ホルモンには、脂肪を分解するという作用もあります。つまり、分泌量が減ると結果肥満につながるということです。子どもの成長ホルモン分泌を増やすのは「運動」「睡眠」「栄養」の3つが重要です。
実は運動、睡眠、栄養と言った日頃の生活習慣が、身長を伸ばすにはより大切なことなのです。参考までに、アメリカ最新のスポーツサイエンス研究で、スポーツ選手が正しい睡眠をとるために考慮するべき点としてあげているのが以下の9点です。
1. 静かな環境
2. 室温を18度に維持
3. 暑すぎない寝具、パジャマ
4. 規則正しい就寝と睡眠時間
5. 就寝前にカフェイン、食事は避ける
6. 就寝前にテレビ、タブレット、PCは避ける
7. 15時前の昼寝
8. 少なくとも7時間睡眠
9. 光のない暗い部屋を確保
これは体内時計を整えるための方法でもあります。子どもにも実践して欲しい内容ですが、子どもの睡眠習慣は大人にも責任があります。子ども達は塾、習い事、スポーツクラブと大人並みに忙しい毎日です。夜更かしはホルモン分泌のリズムに大きく影響しますので特に注意が必要です。
ホルモンがきちんと分泌されないと、朝ごはんを食べたり、学校で勉強したり、友人と遊んだりスポーツしたりしようという意欲はわいてきません。教育熱で睡眠不足を助長しないよう、しっかり家族でサポートしてあげましょう。