2.子どもの個性や環境適応能力を育む
遊び体験は子どもの個性を伸ばす基礎となります。子どものあらゆる感覚に対する本質的な刺激は遊びによりもたらされ、環境への適応能力が培われます。そのためにも子どもの五感を刺激する遊びを数多く経験をさせてあげましょう。五感を養うということは、資質の高い人を育てることで、どの道に進んでもスペシャリストになることが出来る可能性を持てるのです。
また発達心理学な視点からみると幼少期は、自己中心的な年齢から社会的行動ができる年齢への過渡期であることを遊びの中で配慮しなければならないです。もともと個人的な遊び方だったものが、まわりとの共通の遊び方に変わっていく時期です。皆で一緒に遊ぶことで、社会的な行動様式を学び獲得していくので、遊び方は、ごっこ遊びや運動遊びのような皆と一緒に遊ぶ形が望ましいということになります。
*ごっこ遊び
クマはごっこ遊び(じゃれあい)を通じて、どんな時に相手のクマを信じて大丈夫なのか、乱暴になりすぎた場合は身を守り、いつ逃げ出せばよいのかを学びます。動物たちにとって遊びは自分の周りの環境や敵見方のやりとりのルールを学ぶ機会です。たくさん遊ぶ動物は、世の中の渡り方、適応の仕方を早く学びます。よく遊ぶ動物ほど賢いのです。
人間においても日々の生活で起きる問題への「リハーサル」を可能にします。ごっこ遊びを通じて、子ども達は今まで出遭ったことのない状況を想像して疑似体験し、そこから学ぶことができます。このように未来をシュミレーションできることが遊びの一番の良いところかもしれません。
創造力から生まれた世界観を体験すると、イマジネーションの豊かな子になります。
自発的にイマジネーションが湧いてくることの楽しさを知ることで創造力が育みます。
そのような意味でもごっこ遊びは大切です。
*運動遊び
日本でも、その昔、子ども達は時間を忘れて日が暮れるまで路上や空き地で遊んでいました。路上遊びでは、そこに集まる子ども達、その日に使える場所、天候などの条件によって、ルールは生み出され、イレギュラーな条件の中で、様々なプレイが生み出され、それが子ども達の中で伝承されてきました。路上は平坦ではなく、空き地は轍があり、そんな中でイレギュラーなバウンドなど、あらかじめ計算できないプレイの中から、様々な創造的なプレイが生まれてきました。
「子どもには、子どもだけが持つ時間があり、その時間とは、脳とつながっている時間である。その時に脳に蓄えられた身体の記憶・経験がその後の人生で何かを行なうときに利用される」
(Beck,H.)それは昔の子ども達は、外で遊んでいるうちに知らぬ間に様々な能力を「自然な習得法」で身に付けていたと言えるのです。
今の子ども達はまずは遊びとして、スポーツ種目を意識することなく学習できる多様な運動経験が必要なのです。