バルシューレをやっていたらもっと器用な選手になっていたかもしれません。

岡田優介さん

岡田優介さん

中学入学後、バスケットボールを本格的に始め、ジュニアオールスターで個人3位の成績をおさめる。2007年、トヨタ自動車アルバルクに加入。日本代表選手としても活躍する。現役のトップアスリートでありながら、公認会計士の資格を保有。空いた時間を利用して、会計士としても働く。2016年より京都ハンナリーズに所属。

「考えて、動く」が、自然と身につく。

バルシューレスタッフ(以下BS):バルシューレを体験してみていかがでしたか?

岡田選手:今回初めて体験したのですが、子供たちがみんな楽しそうに取り組んでいるのが印象的でした。ボールを投げたり、バランスをとったりと、プログラムの中にいろんな動きがありますよね。ひとりが一つのボールを持つので、ボールの接触時間も長い。ボールの扱い方を楽しみながら身につけられる、とてもいいプログラムだと思います。

BS:楽しむ、ということがすごく重要だと、私たちも考えています。自発的に考えて動くことができれば、自ずとスキルは上がっていくもの。日本のスポーツは教えすぎて、結果的に選手が指示待ちになってしまう傾向があると感じるのですが、どう思われますか?

岡田選手:自分の頭で考えられる選手が、トップ選手だと思います。バルシューレの中でも、子どもたちが自分で考えて、工夫している様子がたくさん見られました。ボールをゼッケンに乗せて運ぶ時も、途中からボールを落とさないように包んで運ぶようになったり。やりながら、自分で考えるシーンがたくさんあるんですね。


BS:僕たちが考えつかないようなやり方をする子供もいますね。白い線から投げてね、と伝えても、正面からじゃなくて「斜めから投げてもいいですか?」と勝手に工夫してくる。148のプログラムがあるのですが、その内容も非常に自由度が高いので、工夫の余地がたくさんあります。

どのスポーツ、どの競技にも通じる力。

BS:バルシューレで培われる身体能力、バスケットボールにおいても生かされますか?

岡田選手:バスケットボールは、状況判断がすごく大事なスポーツです。同時多発的に、コートのあちこちで、違うことが起きるわけですから。短時間で状況が目まぐるしく変わっていく。自分と相手とチームメイト、三者の状況を、瞬時に捉えないといけない。単純に、走る、跳ぶ、というだけではなく、空間認識力や、咄嗟の判断力が、問われます。バルシューレのプログラムの中にも、「鬼」から逃れるために、相手の動きを見たり、相手との間合いを取ったりする動きが、ありますよね。ああいった運動は、神経系全般が鍛えられると思うので、バスケットボールはもちろん、どのスポーツ、どの競技にも通じると思います。

BS:岡田選手は、子供時代、どんな運動をしていたんですか?

岡田選手:私が子供の頃は、基礎体力づくりは全て自己流でした。小学校の頃はサッカーをしていて、バスケットボールを本格的に始めたのは中学から。それまで誰かに教わることがほとんどなかったので、ひたすら走ったり、ひたすらシュートの練習をしたり。おかげで今は、シュートに特化している選手になっていますが、もし自分も子供の頃バルシューレをやっていたら、もっと器用に動ける、オールマイティーな選手になっていたかもしれません(笑)。

運動神経よりも、運動経験。

BS:中学時代、ジュニアオールスターで個人3位という結果を残されています。上達する秘訣は、あったんですか?

岡田選手:どうすればバスケットボールが上手くなるかは、よく聞かれるんですけど、練習量とモチベーション。それだけだと思います。練習はやらされるものじゃなくて、自分がやりたくてやるもの。朝早く起きてボールに触り、部活が終わった後もボールに触り、人の何倍もやっていたのは大きかった。「頑張る」の基準が、人より高かったのだと思います。

BS:「自分でやりたい!」となるのが、一番ですね。一方で、「自分でやる」という機会が子育ての現場では、減りつつある。親御さんはどうしても、危険を先に排除してしまう。転んでかさぶたを作る経験も、成長していく上では重要です。「自分のことは自分でしようね」というのが私たちのスタンス。運動の得意、不得意は、運動神経ではなく、運動経験の問題だと個人的には思います。

岡田選手:運動経験を高める意味でも、なんでもやってみた方がいい。バスケットボールにも、たくさんの視点があるんです。このポジションの選手からは、こう見えている。コーチからは、こう見えている。角度が変わると、全然違う視界が開けるんです。そういう意味で、ぜひいろんなスポーツを体験してほしいと思います。バルシューレを通して、知らない動きに出会ったり、知らない遊びに触れることで、新しい発見がたくさんあるはず。自分の引き出しを増やす意味でも、ぜひ体験してほしいですね。